では、なぜ視聴者が「認知症では」と感じるほどの場面が画面上で目立ってしまうのか。その最大の理由は、深刻な加齢性難聴と補聴器の調整トラブルにあります。
田原氏は以前から耳の不調を公表しており、両耳に補聴器を装着して番組に臨んでいます。ところが、複数人が同時に激しく発言する生討論の現場では、補聴器のマイクがあらゆる音を拾ってしまい、誰が何を喋っているのかを正確に識別することが極めて困難になります。その結果、パネリストがすでに説明した内容をもう一度聞き返したり、会話の文脈からズレたリアクションを取ってしまったりする事態が生じています。
さらに、90歳を超えた肉体で長時間の緊張状態を維持することによる一時的な脳疲労や滑舌の低下も、視聴者に衰えを強く印象付ける要因となっています。頭の中では明確に思考が巡っていても、音声情報の入力と発話のアウトプットのスピードにタイムラグが生じる現象が、誤解を生む土壌となっているのが実情です。