お台場を散策していると、境界を示すフェンスや検問があるわけではないため、行政区分が変わったことに気づく人はほとんどいません。しかし、現地を歩いて詳細に観察すると、行政の境界線を物語る痕跡が至る所に現れます。
特に象徴的なのが、「港区と江東区の境目」です。この2区の境界線は、ゆりかもめの線路下、ウエストプロムナード(シンボルプロムナード公園の一部)の真ん中を通っています。例えば、商業施設「アクアシティお台場」側の歩道は港区ですが、ペデストリアンデッキを渡って「ダイバーシティ東京 プラザ」側へ足を踏み入れた瞬間、そこはもう江東区です。
路上を注意深く見つめると、マンホールの蓋の紋章が変わることに気付きます。道路清掃車や設置されている案内看板の連絡先、ゴミ箱の管理ステッカーの表記も、歩道の中央を境に「港区」から「江東区」へと入れ替わります。
さらに警察の管轄についても、かつては事件や事故の発生場所によって三田警察署(港区)、深川警察署(江東区)、大井警察署(品川区)など本区側の各署からパトカーが橋を渡って駆けつけるという非効率が生じていました。この行政の縦割りを解消するため、2008年に新設されたのが警視庁東京湾岸警察署(江東区青海2丁目)です。湾岸署はお台場全域を一元的に警備・管轄する体制を敷いており、警察組織においては3区の分断を越えた統合オペレーションが実現しています。