日本中に強い衝撃と嫌悪感を与えた「コンビニおでんツンツン事件」が発生したのは、2016年12月のことでした。愛知県常滑市内のコンビニエンスストア(サークルK)のレジカウンターに置かれたおでんケースに対し、豊嶋悠輔氏が「ツンツン、ツンツン」と声を上げながら素手で複数回指を突き刺す様子を撮影し、自身のInstagramストーリーズ等へ投稿したことが発端です。
動画は瞬く間に2ちゃんねる(現5ちゃんねる)やTwitter(現X)をはじめとするネット上に転載・拡散され、店舗に対する衛生面の懸念と猛烈な抗議が殺到しました。被害を受けた店舗側はおでんの全廃棄(計8個・販売価格相当約730円分)と什器の徹底消毒・廃棄を余儀なくされ、愛知県警察は同月、威力業務妨害および器物損壊の容疑で豊嶋氏を逮捕しました。
世間では「見ず知らずの店に突然乗り込んで迷惑行為を働いた悪質な愉快犯」と受け止められましたが、のちに本人が特番インタビューや手記で語ったコンビニおでん事件の経緯と真相には別の文脈がありました。当時、豊嶋氏はその店舗の常連客であり、店長や店員とも気心の知れた間柄でした。「おでんを廃棄するタイミングだったため、内輪ノリの冗談のつもりで撮影した」と釈明しています。しかし、閉ざされた仲間内の悪ふざけであっても、オープンなネット空間に放たれた瞬間に公の迷惑行為へと変貌するというデジタル空間の力学を完全に甘く見ていた結果でした。
逮捕後の刑事処分について、ネット上では「実刑判決を受けたのではないか」「前科者になった」という誤解が長く囁かれていましたが、検察の判断は「不起訴処分(起訴猶予)」でした。被害店舗への真摯な謝罪と弁償がなされたこと、本人が深く反省していたこと、社会的制裁をすでに受けていたことなどが考慮された結果であり、法的な前科は記録されていません。しかし、彼が背負うことになった社会的代償は、法的手続き以上に過酷なものでした。