『完成!ドリームハウス』が一般的な住宅リフォーム番組や情報番組と決定的に一線を画していたのは、テレビ東京特有の徹底したリアリズムと演出の排除にありました。他の民放局が感動的な家族愛や劇的なビフォーアフターを美しい音楽で包み込む一方、本番組は予算の逼迫、工事の遅延、施主と建築家の間に走る緊張感、そして完成時の施主の「戸惑い交じりの表情」までも冷徹にカメラに収め続けました。
特に視聴者の関心が沸騰した背景には、ドリームハウスの建築家たちが提示した「都市における新たな住まい方の実験」という極端な作家性があります。狭小敷地や変形地、あるいは厳しい予算制約の中で、採光や空間の広がりを極限まで追求した結果、常識的な住居の概念を解体するようなプランが次々と誕生しました。施主もまた「他にはない唯一無二の我が家を建てたい」という強烈な情熱を持っていたからこそ契約が成立したわけですが、出来上がった空間のインパクトは、一般的な感覚を持つ視聴者にとって「住居」というより「現代アートのインスタレーション」のように映ったのです。
放送当時のネット掲示板やSNSでは、ドリームハウスの評判を巡って「建築家の自己満足ではないか」「住人の生活を無視している」という猛烈な批判と、「既成概念を壊す挑戦的な建築」「施主が納得しているなら他人が口を挟むべきではない」という擁護論が真っ向から衝突しました。この強烈な違和感と知的好奇心の刺激こそが、番組終了後も人々の記憶から消えない理由となっています。