それでは、なぜ肘がくっつく人とそうでない人が存在するのでしょうか。猿手になる原因を掘り下げると、先天的要素と後天的な動作パターンの2つの側面が見えてきます。
最大の先天的要因は、全身性の関節弛緩性(関節を支える靭帯組織の柔軟性)です。医学的な指標である「Beightonスコア」などで示される通り、靭帯に含まれるコラーゲン線維の組成比率により、関節の可動範囲には大きな個人差があります。女性ホルモンの影響や骨盤の広さから、統計的にも女性の方が肘の屈曲・伸展角度が大きく、前腕が外側に開く生理的運搬角(キャリングアングル)が広い傾向にあります。
後天的な要因としては、筋力不足と不良姿勢が挙げられます。上腕二頭筋や上腕三頭筋の張力が不足していると、肘を伸ばした際に筋肉ではなく関節包や靭帯の限界まで寄りかかって腕をロックする癖がつきます。さらに、現代人に多い「巻き肩」や「猫背」は肩甲骨を外転・前傾させ、結果として腕を正面に出した際、無意識に前腕を強く外旋・過伸展させる代償運動を生み出す土壌となるのです。