一口に「豚」と言っても、その目的や品種によって体組成は大きく変化します。ここでは品種ごとの最新傾向を深掘りします。
肉用豚(三元豚)の筋肉量と脂肪率
日本の養豚で9割以上を占めるLWD種(ランドレース×大ヨークシャー×デュロック)は、肉質の柔らかさと増体効率を追求して品種改良が重ねられてきました。過剰な脂肪蓄積は飼料効率の悪化を招くため、畜産試験場や農家は「筋肉量を最大化し、無駄な脂肪を削ぎ落とす」プログラムを実施しています。精密に計算された飼料管理により、出荷適齢期である生後約6ヶ月時点での体脂肪率は、意図して15%前後にコントロールされているのです。
高級品種イベリコ豚の例外的な体脂肪率
スペインの至宝と呼ばれるイベリコ豚、とりわけ最高ランクの「ベジョータ」は別格の数値を叩き出します。秋のモンタネーラ期(放牧肥育期間)にコルク樫のドングリを飽食するため、体脂肪率は25%〜30%程度まで意図的に引き上げられます。ただし、この脂肪の半分以上はオリーブオイルと同じ良質なオレイン酸(不飽和脂肪酸)で構成されており、融点が低くサラサラとした性質を持っています。
ミニブタ・マイクロブタの体脂肪率と健康課題
ペットとして国内外で愛好者が増えているマイクロブタやミニブタは、野生種イノシシに近い骨格を持っています。本来の野生状態であれば体脂肪率は10%〜15%と非常にタイトですが、室内飼育下では「おやつの過剰摂取」や「運動不足」が原因で体脂肪率が25%を超える肥満個体が動物病院で散見されます。体質的に太りやすいのではなく、人間の飼育環境が肥満を引き起こしている典型例です。