核心からお答えします。昆虫がさなぎから成虫になる現象の名称は「羽化(うか)」です。漢字が示す通り「羽(翅)化する」という意味を持ち、硬いさなぎの殻を破って翅を持つ大人の姿へと生まれ変わる特定のステップを指します。
教育現場やネット上の質問箱で極めて頻繁に見られるのが、「羽化と変態の違い」に関する混乱です。「姿が変わるのだから変態ではないのか?」という疑問を抱く人が多いのも無理はありません。学術的な整理をつけると、その関係性は包含関係にあります。
「変態(metamorphosis)」とは、卵から幼虫、さなぎ、成虫へと、昆虫が成長段階に応じて形態や生態を大きく変えていくライフサイクル全体のプロセスを指す包括的な生物学用語です。これに対して「羽化」は、その長い変態ストーリーの中における「最後の脱皮を行い、成虫として現れる瞬間」を切り取った限定的なアクション用語に位置づけられます。
混同しやすい周辺用語についても整理しておきましょう。幼虫からさなぎへ移行する現象は「蛹化(ようか)」と呼びます。幼虫が古い殻を脱ぎ捨てる一般的な現象は「脱皮」ですが、成虫になるための最後の脱皮こそが「羽化」です。「脱皮と羽化の違い」は、脱皮が単なるサイズアップを含むのに対し、羽化は生殖能力と移動能力(翅)を備えた成体へと最終進化を遂げる決定的な節目である点にあります。