かつては医師の診察室でしか手に入らなかった成分が、薬局の棚に並ぶのが当たり前となった。しかし、市販薬と処方薬の違い詳細を把握しておかなければ、意図した治療効果は得られない。
ロキソニンに関しては、市販の「ロキソニンS」シリーズと医療用の「ロキソニン錠60mg」は、主成分ロキソプロフェンナトリウム水和物の含有量(1錠あたり68.1mg、無水物として60mg)において完全に同等だ。市販薬は「第1類医薬品」に指定されており、薬剤師の説明を受けたうえで購入する形式をとる。胃粘膜保護成分(酸化マグネシウム等)を配合した「ロキソニンSプラス」や、鎮痛補助成分をブレンドした「ロキソニンSプレミアム」など、セルフメディケーションに特化した付加価値製剤が市販市場を牽引している。
一方のアセトアミノフェン市販薬(タイレノールAや各社ノーシン、バファリンルナJなど)は、購入ハードルの低い第2類医薬品として広く流通している。だが、ここに2026年最新鎮痛薬選びの最大の落とし穴がある。処方薬のカロナールが1錠中に200mg、300mg、500mgと明確に規格化され、症状に応じて最大1000mgまで自在にコントロールできるのに対し、市販のアセトアミノフェン単剤製剤は1回あたり300〜325mg程度に設計されている製品が多い。大人の激しい頭痛に対して市販薬1回分を飲んでも、「効き目が薄い」と感じてしまう構造的要因がここにある。
市販の複合鎮痛薬の中には、無水カフェインや鎮静成分(アリルイソプロピルアセチル尿素)が添加されているものが少なくない。これらの添加成分は鎮痛を助ける一方で、連用によって依存性を生み、薬が切れると再び頭痛が起きる「薬物乱用頭痛(MOH)」を誘発するリスクを内包している。成分表示を精読し、自分が口にしている有効成分の正体を見極めるリテラシーが問われている。