ネット上の情報で最も混同されているのが、「なぜ蒲郡ふ頭11号岸壁は突如として閉鎖されるのか」という理由です。単に「釣り人のマナーが悪いから禁止になった」と片付けられるケースが散見されますが、その根底には国際法に基づく構造的要因が存在します。
蒲郡港11号岸壁は、2004年に発効した「国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の向上等に関する法律(通称:改正港湾保安法・SOLAS条約対応)」に基づく重要港湾施設に指定されています。海外からの大型貨物船や外航客船が入港する際、テロ防止や密航阻止のため、岸壁周辺は立ち入り制限区域に設定され、フェンスで完全隔離された上で警備員が常駐します。
さらに蒲郡港は、近年クルーズ客船の誘致に注力しており、「飛鳥II」や「にっぽん丸」といった国内クルーズ船をはじめ、外航大型クルーズ客船が定期的に寄港します。客船が接岸する日程においては、愛知県や蒲郡市、海上保安庁、警察による厳重な警備態勢が敷かれ、関係者以外は敷地内へ1歩も近づくことができません。このスケジュールを知らずに訪れた釣り人が「閉鎖されていて釣り禁止になっていた」とSNSに投稿し、それが伝言ゲームのように拡散されて「全面廃止」の噂が定着したという側面が極めて強いのです。
もちろん、背景には釣り人のゴミ放置、コマセ(アミエビ)の洗い流し放置、関係車両への進路妨害といったマナー問題が引き金となり、行政側が「業務外の立ち入りに対して厳格な運用方針をとらざるを得なくなった」という事実も無視できません。物流インフラとしての公共性と、国際条約上の義務が重なった結果、かつての牧歌的な利用形態は完全に過去のものとなりました。