「なぜ、隣の鉢には1匹もいないのに、特定のプランターだけが狙われるのか」――この疑問に対する答えは、成虫の走化性と土壌環境の化学的シグナルにあります。
コガネムシの成虫(特にアオドウガネやドウガネブイブイ)は、6月から8月の夜間に交尾を終えた後、産卵に適した土壌を求めて飛行します。彼女らが強力に誘引されるトリガーは、「未熟な有機質肥料の腐敗臭」と「適度な湿り気を帯びた軟らかい土壌」です。市販の安価な培養土に含まれる未発酵の牛糞堆肥、油かす、魚粉などが夏の地熱で再発酵する際、独特のガスと有機酸を放出します。成虫はこの匂いを鋭敏に察知し、自らの子孫が孵化直後に餌に困らない場所と判断して潜入し、1頭あたり数十個の卵を産み落とすのです。
また、鉢の表面が露出している「裸土」の状態は、夜間に飛来したメスにとって障害物なしで潜り込める格好のランディングバーンとなります。反対に、土壌が適切にマルチングされていたり、無機質の赤玉土主体の用土で構成されていたりする鉢は、産卵リスクが劇的に低下することが栽培現場の検証で明らかになっています。