国家の数をめぐる議論で避けて通れないのが、国際法上の成立要件と「国家承認」の壁です。
国際法(モンテビデオ条約など)において、国家が成立するための基本要件は「一定の領土」「定住する国民」「実効的な統治能力を持つ政府」「他国と外交関係を結ぶ能力」の4つとされています。しかし、これらを完全に満たしていても、他国から正式に国家として承認されなければ国際社会の公式な輪には入れません。
その典型例が台湾(中華民国)です。台湾は独自の領土、民主的な政府、高度な経済基盤、独自のパスポートと軍隊を有しており、実質的には主権国家としての機能を完全に備えています。しかし、1972年の日中共同声明に基づき、日本政府は中国(中華人民共和国)を唯一の正統政府として承認しているため、台湾を法的な意味での「国家」としては数えておらず、非公式の実務関係にとどめています。
世界にはほかにも、実効支配を行っていながら国際的な承認が極めて限定的な地域が複数存在します。
モルドバから事実上独立状態にある「沿ドニエストル共和国(トランスニストリア)」、ソマリア北部にあり治安が安定しているものの国際社会から承認のない「ソマリランド」、トルコのみが承認する「北キプロス・トルコ共和国」などです。こうした「未承認国家」を含めるかどうかによっても、地球上に存在する国の実数は大きく変動します。