高木ブーといえば、ザ・ドリフターズのコント内で見せた「居眠りキャラ」が代名詞です。激しい動きと体を張ったギャグが飛び交うドリフのステージにおいて、画面の隅でコックリコックリと舟を漕ぐ姿は、視聴者に強烈なインパクトを残しました。
この居眠りは計算された演技だったのか、それとも本当に眠っていたのか——。後年、本人が明かした真相は「本当に眠気を我慢できなかった」という驚くべきものでした。
当時のドリフターズは、毎週の生放送に加え、過酷なネタ会議や地方公演が重なる超ハードスケジュールを極めていました。極度の疲労のなか、リーダーのいかりや長介から「ブー、お前は無理して喋らなくていい。ただそこに座ってろ」と言われたことで、緊張の糸がふっと切れ、思わず本気で寝落ちしてしまったのが発端です。
普通のお笑いグループであれば叱責される場面ですが、いかりや長介はその佇まいを見て「こいつが寝ているだけで画になる」「激しいコントの中でブーの脱力感が絶妙な緩和剤になる」と直感。怒るどころか、あえて“究極の天丼(お約束ギャグ)”として演出に組み込みました。超個性派集団の中で自分を偽らず、マイペースを貫いたからこそ生まれた奇跡のキャラクターでした。