永六輔さんが遺した功績は、放送界にとどまりません。作詞家としての才能は日本のみならず世界中を魅了しました。作曲家の中村八大さんと組んだ黄金コンビ「六八コンビ」からは、坂本九さんが歌って米ビルボード誌で全米1位を獲得した『上を向いて歩こう(SUKIYAKI)』をはじめ、数多の名曲が誕生しました。
『見上げてごらん夜の星を』『こんにちは赤ちゃん』『遠くへ行きたい』『黄昏のビギン』など、永さんが紡いだ歌詞は、日常の切なさや生きることの美しさを平易な言葉で描き出し、今なお多くのアーティストによって歌い継がれています。
また、文筆家としても1994年に発表した新書『大往生』が200万部を超える大ベストセラーを記録。「死ぬのは生まれてくるのと同じくらい自然なこと」と説き、タブー視されがちだった終末期医療や死生観について日本社会に大きな一石を投じました。言葉の力を誰よりも信じ、大衆に寄り添い続けた文化人でした。