皇族の婚姻やその解消を巡る最大のハードルは、皇室の身分や継承を規定する根幹法規である「皇室典範」の記述にある。現行の皇室典範には、一般の民法が定める「協議離婚」や「裁判離婚」に相当する条文が一切存在しない。つまり、制度上そもそも離婚という手続き自体が想定されていないのだ。
仮に皇族の意志で婚姻関係を解消しようとした場合、皇室会議の関与が不可避となる。皇室会議とは、皇族議員や衆参両院の議長、最高裁判所長官など10名で構成される法的機関であり、皇族の結婚(婚姻の成立)にはその議決が必須とされる。しかし、一度成立した婚姻を解消させる手続きについては、皇室典範上に明文の規定がない。皇籍離脱という形で皇室を離れる手段はあるものの、それが夫婦関係の破綻のみを理由として認められるかは極めて不透明だ。法体系の欠落とも言えるこの構造こそが、離婚を実質的に不可能なものにしている第一の要因である。