三毛別事件の恐怖と極限状態を描いた吉村昭の傑作ドキュメンタリー小説『羆嵐』は、半世紀以上経った今なお読者に強い緊張感を与える。自然の冷徹さと人間の無力さを圧倒的な筆力で切り取った同作は、私たちが普段忘れがちな「自然界の捕食ピラミッド」の現実を突きつける。
海外に目を向ければ、Netflixなどの動画配信サービスで話題となった映画『レヴェナント: 蘇えりし者』のように、巨大なクマとの生死をかけた闘争を描いた作品が世界中で高い関心を集めている。穏やかな映像で癒しを与える一般的なネイチャー・ドキュメンタリーとは一線を画し、人間の日常を一瞬で破壊する息詰まるパニック・スリラーのような現実が、現代の北海道でリアルタイムに展開しているのだ。