スリムクラブの名を全国区へと押し上げた最大の出来事といえば、やはり『M-1グランプリ2010』での大健闘だろう。独特のスローテンポな展開と、思いもよらない角度から繰り出されるボケの連続は、審査員や視聴者に強烈な毒と笑いを叩きつけた。あの大会で準優勝を果たした瞬間、彼らの人生は一夜にして激変した。
漫才という形式に囚われない自由なスタイルは、当時の漫才界に大きな激震を走らせた。一過性のブームに終わらせず、劇場でのネタ披露を第一に据え続ける姿勢は今も変わらない。テンポの速い現代の笑いとは一線を画す「間」の美学は、彼のアイデンティティそのものと言える。