「お酒を飲んだ翌朝、なぜこれほどまでに激しい下痢に襲われるのか」という疑問に対し、医療現場の臨床データは極めて明快な回答を示しています。飲酒後に生じる急激な便通異常には、人体がアルコールという高濃度の異物を処理する過程で生じるお酒飲み過ぎ下痢の決定的な理由が存在します。
消化器専門医の報告によると、体内に入ったアルコール(エタノール)の約20%は胃で、残りの約80%は小腸で吸収されます。しかし適量を超えた過剰な飲酒が行われると、小腸の粘膜細胞が直接的な化学的ダメージを受け、小腸壁に存在する微絨毛(びじゅうもう)の機能が一時的に麻痺します。これがアルコール下痢メカニズムと真相の出発点です。通常、小腸は1日に約7〜8リットルもの水分を効率よく再吸収していますが、アルコールの毒性によって「ナトリウム・グルコース共輸送体(SGLT1)」の働きがストップし、水分を腸壁側へ引き込めなくなります。
さらに見逃せないのが、ビールの大量摂取に伴う浸透圧の急変です。いわゆるビール浸透圧性下痢の原因として、アルコール度数5%前後の液体を短時間で1リットル以上流し込むことで、腸管内の浸透圧バランスが崩壊することが挙げられます。腸管腔内の溶質濃度が急上昇すると、薄めようとする生体防御反応が働き、血管側から腸管内へと大量の水分が逆流するように染み出します。これに加えて、炭酸ガスによる機械的な腸管刺激と冷たい温度刺激が加わり、腸の蠕動(ぜんどう)運動が制御不能なほど過剰に加速するのです。
加えて、肝臓から分泌されて脂肪の消化を助ける「胆汁酸」の代謝異常も深く関与しています。過度な飲酒は大腸へと流れ込む胆汁酸の量を異常に増やし、この過剰な胆汁酸が大腸粘膜を化学的に刺激して大量の粘液分泌と激しい蠕動運動を誘発します。未消化の水分、脂質、そして刺激物質が混ざり合った結果として、翌朝の激しい水様便が引き起こされる構造です。