『牡丹と薔薇』の記録的ヒットの背景には、重厚かつ突飛なドロドロ劇を描き続けてきた脚本家・中島丈博の手腕がある。従来の枠組みに囚われない過激なセリフ回しと、予測不能な展開。視聴者の意表を突く怒涛のストーリーテリングは、まさに中島ワールドの真骨頂だった。
制作を手掛けた東海テレビ放送と共同テレビジョンのタッグも、この異色の愛憎劇を成立させた立役者だ。フジテレビ系列の昼1時30分枠という「昼ドラ」の黄金期において、彼らは守りに入ることなく攻めの姿勢を貫いた。コンプライアンスが強化された現代では再現困難とも言われる挑戦的な演出は、日本のテレビドラマ業界全体に大きな激震を与え、昼の帯ドラマというジャンルの価値観を根底から塗り替えたのだった。