数ある連続テレビ小説作品の中でも、本作が「最高傑作」と称される理由は、甘えのないリアルな描写にある。特に、周防等との切なくも甘美な禁断の恋を描いた中盤の展開は、朝の放送枠でありながら視聴者を固唾をのませて見守らせた。愛と仕事、そして家族の間で苦悩する糸子の姿は、人間の尊厳と孤独を浮き彫りにした。
連続テレビ小説『カーネーション』が示した挑戦的な姿勢は、物語終盤のキャスト交代劇にも表れている。晩年の糸子役を夏木マリへとバトンタッチする決断は放送当時大きな話題を呼んだが、歳月を重ねた人間の佇まいを見事に表現し、物語の深みをより一層引き立てる結果となった。全151話、捨て回が一切存在しない奇跡的な構成美は圧巻だ。