1950年代後半、日本列島を席巻した「ミッチー・ブーム」は、日本の消費社会の幕開けと密接に結びついていた。美智子さまが身につけられたストールやテニスウェアは瞬く間に街中に溢れ、女性たちの強い憧れの的となった。
この現象を加速させたのが、急成長を遂げつつあったマスメディア・皇室報道である。新聞や週刊誌、そして誕生したばかりの民放テレビ局は、連日のように皇太子妃の素顔を追った。それまで遠く神秘的な存在であった皇室が、一気に身近で親しみやすい存在へと変貌を遂げた瞬間だった。メディアの過熱報道はプライバシーのあり方をめぐる議論も巻き起こしたが、同時に皇室と国民との新たな関係性を形作る強力な原動力となった。