「自然界に真っ黒な薔薇は存在するのか」という疑問に対し、植物学的な答えは「極めて限定的な地域にのみ実在する」となります。その舞台が、トルコ南東部シャンルウルファ県のハーフエティ(Halfeti)地区です。
現地で「カラギュル(Karagül=黒い薔薇)」と呼ばれるこの薔薇は、ユーフラテス川流域の土壌に含まれる特異なpH値(弱アルカリ性)と、高濃度の水溶性アントシアニン色素が組み合わさることで生まれます。春には極めて濃い深紅色で開花し、夏の猛暑期を迎えると肉眼では完全な漆黒に見える花弁を広げます。しかし、ハーフエティの土壌を離れて別の地域に植え替えると、通常の赤薔薇に戻ってしまうという極めて繊細な性質を持っています。
一方、現在日本のフラワーショップやECサイトで見かける黒薔薇は、大きく分けて2つのタイプが存在します。
1つ目は、「ブラックバカラ」や「ブラックティー」などに代表される、品種改良によって限りなく黒に近い深紅・濃紫を実現した生花品種です。光に透かすと深みのあるビロードのような赤が見え隠れし、格調高い色気を醸し出します。
2つ目は、特殊な染料を吸わせた生花やプリザーブドフラワーギフトです。近年は技術向上により、マットな漆黒からラメ加工を施した煌びやかなものまで、枯れることのないインテリアアイテムとして高い完成度を誇っています。