事実とは異なる記憶を多くの人々が共有してしまう現象は、心理学やネットカルチャーにおいて「マンデラ効果」と呼ばれる。南アフリカの元大統領ネルソン・マンデラ氏が獄中で死亡したという誤った記憶が広まったことに由来する言葉だが、サブカルチャー界隈におけるマンデラ効果の筆頭格こそが、まさにこの「しっぽの先端黒色説」である。
なぜこの錯誤が生じるのか。理由は視覚情報の混同にある。ピカチュウの耳の先端には、くっきりとした黒い配色が施されている。さらに、進化前であるピチューの耳もしっかりと黒く縁取られており、デザインの対比として脳内で「しっぽの先も同じように黒い」と勝手に補正をかけてしまうのだ。また、根元部分に目を向ければ、実は濃い茶色の帯が入っている。上部の黒と根元の茶色、そして稲妻型の鋭利なラインが視覚的なノイズとなり、無意識の記憶書き換えを引き起こしている。