震災直後、現地を取材した報道陣や自治体関係者の記録には、一見して外壁に目立つ損壊がないにもかかわらず、家屋全体が数度傾いて住居不能に陥った住民の困惑が克明に残されています。被災住民の手記には、「玄関ドアが開かず窓から脱出した」「床が傾いているため平衡感覚を失い、室内での日常生活が困難になった」という証言が多数寄せられました。
新潟市ライフライン復旧状況を振り返ると、上水道の本管復旧は早期に進んだものの、道路下の埋設管と宅地内の配管が地盤のズレによって断裂するケースが多発しました。特に下水道の勾配異常は、目視による点検が難しく、重機を入れた掘削工事と路盤改良を一体で進める必要があったため、完全復旧には多大な時間を要しました。
地域コミュニティにおいては、道路一本を挟んだだけで液状化の被害有無が分かれたことから、住民間で罹災状況の受け止めに温度差が生じる事態も見られました。自然災害における地盤リスクの局所性と、その後の合意形成の難しさが浮き彫りとなった一例です。