劇場版シリーズの歴史は、映画史に残る名悪役と豪華な歴代ゲスト声優の軌跡でもあります。1993年公開の第1作『アクション仮面VSハイグレ魔王』から脈々と受け継がれる映画シリーズでは、単なる悪役に留まらない独自の美学や哀愁を持った敵キャラクターが多数生み出されてきました。
映画ファンの間で今なお語り草となっているのが、1996年公開『ヘンダーランドの大冒険』に登場したオカマ魔女の「マカオとジョマ」です。圧倒的な魔力を持ちながら、しんのすけたちとババ抜きやダンス、追いかけっこで決着をつけるコミカルさと不気味さの同居は、演出を手掛けた本郷みつる監督・原恵一氏の手腕が光る屈指の名勝負でした。
また、2001年の『嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』における「ケンとチャコ」は、急速に変わりゆく平成の社会において「美しき昭和のノスタルジー」に囚われた大人たちの切なさを完璧に体現し、悪役の枠を超えた社会派キャラクターとして国内外で絶賛を浴びました。
さらに、テレビシリーズおよび映画における声優陣の交代劇も見逃せません。長年しんのすけ役を務めた矢島晶子氏から小林由美子氏へのバトンタッチ(2018年)、そして病気療養の末に逝去された藤原啓治氏から森川智之氏への野原ひろし役の継承(2016年〜)は、前任者への深い敬意を保ちながら新たな魂を吹き込んだ歴史的快挙として、アニメ業界内外から高い評価を得ています。