契約更新の前、クアルタラロの周囲にはアプリリア・レーシングへの電撃移籍をはじめとする複数の選択肢が浮上していました。戦闘力の高いマシンを求めて移籍するのはトップライダーとして極めて自然な流れであり、多くの海外メディアも「移籍は秒読み」と報じていた時期があります。
それでも彼がヤマハ残留を決断した最大の要因は、提示された破格の年俸条件とヤマハ本社の開発体制への巨額投資という2つのファクトにありました。報道各社の取材データによると、ヤマハが提示した年俸は推定1,200万ユーロ(日本円で約19億〜20億円)に達し、現役王者クラスを上回るパドック最高額水準となっています。
さらに重要なのは、ヤマハが元ドゥカティのマックス・バルトリーニをテクニカルディレクターに招聘するなど、欧州式の迅速な開発アプローチを全面的に取り入れた点です。手記や公式会見でクアルタラロは「単なる約束ではなく、具体的な人事と投資計画が目の前に示された」と語っており、自らをナンバーワンとして重用し続けるファクトリーチームの誠意を受け止めた形となりました。