2000年代以降、コンビニエンスストアの急速な進化と中食市場の寡占化によって、個人経営や小規模チェーンの弁当店は容赦なく淘汰されてきた。かつて街道沿いや駅前商店街で赤と白の看板を誇らしげに掲げていた店舗も、後継者不足や大手との資本力勝負に敗れ、次々と姿を消していったのは周知の事実だ。
潮目が変わったのはここ数年のことである。コンビニ弁当の実質的な値上げや、容器形状の工夫による「ステルス減量」に対する消費者の不満が臨界点に達した。大手チェーンがAI需要予測とセントラルキッチンによる効率化を極限まで推し進めた結果、皮肉にも失われた「出来立ての温もり」と「圧倒的なボリューム感」への飢餓感が、消費者を再び街の弁当屋へと向かわせている。
現在残っている店舗は、過酷な生存競争を実力だけで生き残ってきた歴戦の猛者ばかりだ。看板こそ同じ屋号を掲げていながら、メニュー構成や味付け、盛り付けの流儀に至るまで、店主の個性が色濃く反映されたインディペンデントな魅力が、SNSカルチャーを通じて若い世代にも再発見されている。