オールシーズンタイヤを選択する上で、最も警戒すべきが凍結路面における危険性です。タイヤ公正取引協議会やJAF(日本自動車連盟)が実施した氷上ブレーキテストの公開データでも明らかな通り、圧雪路面(踏み固められた雪)ではスタッドレスに近い制動力を発揮するものの、氷上・アイスバーンでは滑る挙動が顕著になります。
氷点下の交差点や橋の上、トンネルの出入り口に発生するブラックアイスバーンにおいて、時速40kmからの制動距離を比較すると、スタッドレスタイヤに対してオールシーズンタイヤは約1.5倍から2倍近く制動距離が伸びるという実測結果が報告されています。
物理的な根本原因は、ゴムのコンパウンド(配合)とトレッドパターンの設計思想にあります。スタッドレスタイヤは、マイナス数十度でも硬化しない特殊発泡ゴムを採用し、氷の表面に生じるミクロの水膜を取り除く吸水技術を備えています。
対してオールシーズンタイヤは、日本の猛暑(路面温度60度以上)にも耐えうるトレッド剛性を維持しなければならないため、ゴムを極端に柔らかくすることができません。その結果、氷の表面に密着できず、水分で浮いて滑ってしまうという物理的限界に直面します。