日常会話ではすべての神道施設を一括りに「神社」と呼びますが、正式な名称の末尾に付く称号を神道用語で「社号(しゃごう)」と呼びます。「神社」は神を祀る施設全般を指す包括的な総称であるのに対し、「大社(たいしゃ/おおやしろ)」は特定の由緒や高い格式を備えた神社にのみ認められた特別な称号です。
大社を名乗るための歴史的由来は、大きく分けて2つの系統が存在します。ひとつは「全国に無数にある分社の頂点に立つ総本社」であること、もうひとつは明治期に定められた「近代社格制度において官幣大社・国幣大社に列せられていた歴史」を有することです。
大社という言葉のルーツを辿ると、古代から近世に至るまで「大社(おおやしろ)」といえば島根県の出雲大社ただ一社を指す言葉でした。延喜式神名帳や『古事記』『日本書紀』の神話体系において、国譲りの代償として創建された出雲の大宮殿が破格の規模と敬意をもって特別視されていたためです。
その後、明治以降の近代国家建設に伴い、国家的な祭祀制度の中で高い格式を与えられた神社や、全国に数千・数万単位の分祀を持つ総本社(伏見稲荷大社や諏訪大社など)が戦後に相次いで「大社」の社号を名乗るようになりました。つまり、大社とは「全国的信仰の中心地」であり「神道史における重鎮」であることの公的な証明といえます。