「iris out」という言葉を分解すると、ギリシャ神話の虹の女神「イリス(Iris)」に端を発し、医学用語で眼球の「虹彩」、光学用語でカメラレンズの「虹彩絞り」を指すirisと、画面から消えていく状態を示すoutが組み合わさって成立しています。つまり、アイリスアウトの語源と由来は、カメラ内部で光量を調節する金属羽根の絞り機構そのものにあります。
光学機器におけるカメラのアイリスの意味とは、中心の円形開口部を連続的に狭めたり広げたりして光の透過量を制御するパーツのことです。映画の草創期、カメラマンが撮影終了時にこの絞り機構を手動でギリギリまで閉じ、画面の中央に向かって円形に黒く閉ざしていく技法を編み出したことが、映画用語としてのアイリスアウトの誕生でした。
光学技術が未熟だった時代、シーンの切り替えをカメラ内部の物理的操作のみで完結させる現場の知恵から生まれたこの手法は、やがてレンズの前に円形の穴を開けた板(アイリスマスク)をかざして動かす特殊効果へと発展しました。機械的な「光量調節」という実務作業が、観客の感情を揺さぶる「映像演出」へと昇華した象徴的な事例といえます。