インターネット上のコミュニティやSNSを調査すると、行者にんにくの下処理において多くの家庭が同様のトラブルに見舞われている実態が浮かび上がってきます。
「直売所でまとめ買いした天然モノを洗って天ぷらにしたら、衣が爆発して油が飛び散った」「根元の泥がどうしても落ちず、噛むたびに砂の味がした」「茹ですぎてクタクタになり、自慢のシャキシャキ感が完全に消え去った」――こうした悲鳴は枚挙にいとまがありません。特に多いのが、水洗いの手順の誤りによるものです。
プロの現場で行われている確実な洗浄法は、「ため水による振り洗い」と「流水による指先洗浄」の2段階アプローチです。ボウルにたっぷりの冷水を張り、行者にんにくの根元を持って葉先を水中で大きく揺すり、葉の間に挟まった落ち葉や砂を振り落とします。次に、水道の流水を根元に直接当てながら、指の腹を使って茎の重なり合った部分を優しくなぞるように洗います。この「指の腹でなぞる」工程を挟むだけで、砂噛みの発生率は劇的に低下します。
また、強烈な匂いにまつわる失敗も目立ちます。調理後に数日間にわたって部屋や冷蔵庫に匂いが充満してしまう現象です。この原因は、葉や茎を不用意に細かく刻んだ状態で常温放置することにあります。行者にんにくに含まれる「アリイン」という無臭のアミノ酸は、細胞が破壊されることで酵素「アリイナーゼ」と接触し、揮発性の強い「アリシン」へと変化します。匂いを穏やかにコントロールしたい場合は、「調理の直前まで細かく刻まない」「下処理段階ではなるべく姿のまま扱う」ことが現場目線の鉄則です。