2006年に制作された名作ドラマ『結婚できない男』(関西テレビ放送・フジテレビジョン制作)は、日本のテレビドラマ史における恋愛コメディの金字塔として今も語り継がれている。阿部寛演じる腕は確かだが偏屈で自己中心的な建築家・桑野信介と、夏川結衣演じる生真面目で包容力のある内科医・早坂夏美。二人の会話劇は、まさに水と油でありながら、どこか引き合わずにはいられない不思議な磁力を放っていた。
この作品における二人の掛け合いの面白さは、単なる型通りのコメディ要素にとどまらない。桑野の嫌味な屁理屈を夏美が絶妙な間と呆れ顔、時には鋭い一言で受け流すシーンのテンポ感は極上だ。作り込まれたセリフでありながら、まるで目の前でリアルな男女の日常を覗き見しているかのような感覚を視聴者に与えたことが、大ヒットの大きな要因となった。