多くの人々が「絶対に有名なアニメで見た記憶がある」と誤認してしまう背景には、認知心理学でいうマンデラ効果(事実と異なる記憶を集団で共有してしまう現象)が存在します。
創作物において、天才的な知略を描く演出手法には強固なパターンが存在します。「薄暗い司令室」「巨大なモニター」「盤面を前に一人静かに駒を進める参謀」「眼鏡に反射する光」といった記号の数々は、1990年代から2000年代にかけてのアニメ表現で徹底して反復されてきました。視聴者の脳内には、これら無数の作品から抽出された「最大公約数的な軍師像」がストックされています。
ネットユーザーは、記憶の引き出しからそれらの情景を無意識にコラージュし、「あのキャラが言っていたに違いない」という偽りの記憶を定着させてしまったのです。さらに、動画投稿プラットフォーム上で無数に作られたMAD動画やパロディ投稿がこの錯覚に拍車をかけ、虚構が事実を上書きする現象が完成しました。