指導者としての橋上秀樹氏の名を球界に轟かせた最大のハイライトは、2012年から2014年にかけての読売ジャイアンツでのコーチ時代です。当時、宿敵であったヤクルトや楽天で野村野球を体現してきた橋上氏を、原辰徳監督が「チームに足りない戦略眼を注入してほしい」と熱望して戦略コーチに招聘しました。
伝統的に個々の選手のポテンシャルに頼る傾向のあった巨人打線に対し、橋上氏は相手投手の配球パターンや癖の徹底的なデータ解析を持ち込みました。打席に入る前の狙い球の絞り込みや、カウントに応じたアプローチの変化を全打者に徹底させた結果、2012年の巨人は圧倒的な強さでセ・リーグ優勝、交流戦優勝、クライマックスシリーズ制覇、日本シリーズ制覇、アジアシリーズ制覇という「完全5冠」を達成しました。
さらに2013年第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表(侍ジャパン)でも戦略コーチに抜擢され、対戦国の情報分析や作戦立案を担当。短期決戦における相手投手の攻略法を的確に提示するなど、日本球界を代表するトップストラテジストとしての地位を不動のものにしました。