1992年3月、新日本プロレスのリングに突如として現れたのが3代目タイガーマスクでした。当時、全日本プロレスで2代目タイガーマスクを務めていた三沢光晴がマスクを脱ぎ、超世代軍の旗手として大ブレイクを果たした直後という力学も働き、新日本プロレス首脳陣はジュニアヘビー級戦線の起爆剤として「虎の復活」を画策しました。
抜擢されたのは、1990年に新日本プロレスへ入門し、柔道仕込みの強烈な関節技と負けん気の強さで頭角を現していた若手・金本浩二でした。当時のプロレス界関係者の証言によると、現場のフロント陣は金本の類まれな身体能力と精悍な体躯を高く評価し、アントニオ猪木をはじめとする上層部の意向によって白羽の矢が立てられたとされています。
しかし、デビュー当初からファンの間では「3代目タイガーマスクの正体は金本浩二である」という事実は公然の秘密でした。金本特有の左ミドルキックの鋭さ、コーナーポストに登った際の佇まい、そして何よりリング上でにじみ出る粗削りな闘争本能は、初代タイガーマスクの軽やかなファンタジーとは決定的に異なっていたからです。