インターネット上の掲示板やSNSで定期的に浮上する「団時朗 草刈正雄 似てる」「団時朗 草刈正雄 兄弟説」という言説。結論から言えば、二人に血のつながりは一切ありません。団時朗(本名:村田秀雄)さんは京都府出身、草刈正雄さんは福岡県小倉市(現・北九州市)出身であり、育った環境も血統も全く別の道を歩んできました。
では、なぜこれほどまでに強固な兄弟説が日本中に定着したのでしょうか。その発火点は、1970年に放送された資生堂の男性用化粧品ブランド「MG5」のテレビCMにあります。当時、すでに同CMの初代メインキャラクターとして爆発的な人気を誇っていた団時朗さんのもとに、新たなキャストとして投入されたのが、当時まだ17歳だった草刈正雄さんでした。
このキャスティングを手掛けたのは、日本のコマーシャル界に革命をもたらした伝説のCMディレクター、故・杉山登志氏です。杉山氏は、欧米の空気を纏った団時朗さんの圧倒的な洗練美に、まだあどけなさと野性を残した草刈さんを「弟分」としてぶつける演出を敢行。二人が息を合わせて躍動する姿は、血を分けた実の兄弟以上のリアリティを放ち、お茶の間の潜在意識に「美しき兄弟」として焼き付けられたのです。フィクションの枠組みを超えた演出プランが、半世紀に及ぶ「団時朗 草刈正雄 噂の真相」の源流となりました。