「会社側にパワハラ被害を訴えれば助けてくれるのか」という疑問に対し、元社員や労働団体の現実は極めて厳しい答えを突きつけています。アマゾン社内にはコンプライアンス窓口や「Employee Resource Center(ERC)」と呼ばれるアマゾンのパワハラ相談窓口が設置されています。しかし、この内部通報制度が従業員救済のために十全に機能しているとは言い難いのが実情です。
元社員の手記や告発によると、「社内窓口に通報したところ、通報内容が直属の上司や人事(HR)に筒抜けになり、かえって人事評価で最低ランクをつけられた」「人事部門は従業員のメンタルを守るためではなく、会社側を訴訟リスクから守るために動くため、最終的に合意退職を勧められた」といった体験談が散見されます。
こうした社内自浄作用の機能不全を背景に台頭したのが、外部の個人加盟型労働組合である東京管理職ユニオン傘下の「アマゾンジャパン労働組合」です。組合員たちは、不当な解雇通知や不合理な退職勧奨に対し、アマゾンジャパンの労組による団体交渉を要求。会社側が団体交渉を拒否したことに対して東京都労働委員会から不当労働行為の認定を受けるなど、泥沼の抗争を繰り広げてきました。社内窓口に頼るのではなく、外部のユニオンや弁護士を介さなければ自己防衛すら困難であるという実態は、大手グローバル企業としては極めて歪な労務ガバナンスと言わざるを得ません。