食品パッケージに印字された日付を見るとき、まず整理すべきなのが消費期限と賞味期限の違いです。消費者庁および農林水産省のガイドラインにおいて、この2つは明確に区別されています。「賞味期限」はスナック菓子、缶詰、ペットボトル飲料など品質の劣化が比較的緩やかな食品に付けられ、「美味しく食べられる期限」を指します。一方の「消費期限」は、食肉、生菓子、サンドイッチ、惣菜など、製造日からおおむね5日以内に品質が急速に劣化する食品に指定される「安全に食べられる期限」です。
では、消費期限が1日過ぎた時点で食品は即座に猛毒と化すのでしょうか。背景にあるのが食品の安全基準における「安全係数」の存在です。食品メーカーや加工業者が消費期限を決定する際、理化学試験や微生物試験で「実際に品質が保持される限界日数」を割り出し、そこに0.7〜0.8(場合によっては0.6)という安全係数を掛け合わせて前倒しの日付を設定します。例えば、実験上で5日間安全が確認された食品であれば、安全係数0.8を乗じて「4日後」を消費期限として印字します。
理論上は「1日程度の猶予(マージン)」が組み込まれている計算になりますが、専門家はこのマージンを過信することに強く警鐘を鳴らします。なぜなら、メーカーの試験は「10℃以下、あるいは4℃以下を完全に保った恒温庫」という理想的な管理下で行われているためです。家庭の冷蔵庫は開閉による温度上昇が頻繁に起こり、夏場などは設定温度を大幅に上回るケースも珍しくありません。わずか1日の超過であっても、保管環境次第では安全係数のバッファを使い果たしている危険性があります。