傷んだパンを見分ける際、最も代表的な指標がパンのカビの見分け方です。パンに発生するカビには複数の種類が存在します。白くフワフワしたクモの巣状のカビ、青緑色の斑点として広がるペニシリウム属(青カビ)、黒い斑点のアスペルギルス属(黒カビ)、そして赤やピンク色に変色するアカパンカビなどです。
粉末状の小麦粉(打ち粉)と白カビを見分けるポイントは「質感と局所性」にあります。打ち粉はサラサラとしておりパンの表面全体に均一に薄くついていますが、白カビは綿毛のように立体的に盛り上がり、湿り気や油っぽさを伴って斑点状に広がります。
パンが腐るとどうなるかという兆候は、変色だけにとどまりません。パン生地に含まれるバチルス菌(枯草菌)が増殖すると、パンの内部が茶色く変色してドロドロに軟化し、手でちぎると納豆のように糸を引く「ロープ現象」が発生します。また、袋を開けた瞬間にツンと鼻を突く酸っぱい臭いや、アルコールのような発酵臭、古びた雑巾のような異臭が立ち込めた場合も腐敗が極度に進行しているサインです。
恐ろしいのはパンによる食中毒の危険性です。カビが生成する「マイコトキシン(カビ毒)」は、下痢や嘔吐といった急性胃腸炎だけでなく、長期的な肝障害や腎障害を引き起こす発がん性物質を含むケースがあります。一部だけカビが生えた食パンの端をちぎって食べる行為は、すでにパン全体に広がった無色透明の菌糸と毒素を自ら体内に取り込んでいるのと同義であり、絶対にやってはならない悪手です。