自動車の高齢者マークについて最も多い疑問が、「何歳から表示しなければならないのか」という点です。道路交通法第71条の5において、高齢運転者標識の表示基準は明確に定められています。
結論から言えば、70歳以上75歳未満は「加齢に伴う身体機能の低下が運転に影響を及ぼすおそれがある場合の努力義務」、そして75歳以上は「表示の努力義務」と位置づけられています。「義務」という言葉が含まれますが、法律上はあくまでドライバー自身の判断と自主的な安全確保を促す「努力義務」にとどまっています。
過去の経緯を振り返ると、2008年(平成20年)の道路交通法改正時に「75歳以上のドライバーに対する完全義務化と罰則規定(反則金4,000円・違反点数1点)」が一度導入されかけました。しかし、当事者や世論から「年齢だけで一律に罰則を科すのは不当である」「高齢者を過度に差別している」といった強い反発が巻き起こり、施行直前の法改正によって罰則の適用は見送られ、2009年に努力義務へと戻された歴史があります。
したがって、2026年現在においても、高齢者マークを貼らずに運転したからといって警察に検挙されたり、罰金や免許の減点を課されたりすることは一切ありません。