『すーちゃん』シリーズをこれから手に取る方、あるいは久しぶりに再読したい方がもっとも迷いやすいのが「どの順番で読むべきか」という点です。幻冬舎から刊行された本編は基本的に時系列順で主人公たちの年齢や立場が変化していくため、刊行順に読み進めることで登場人物たちの精神的成長や環境の変化をリアルタイムで追体験できます。
この4作に加えて、益田ミリ氏が日々の食と暮らしを綴ったコミックエッセイ『わたしを空腹にしないほうがいい 改訂版 すーちゃんの日記』などを合わせて読むと、すーちゃんの生活感がより立体的に伝わってきます。
物語を支える3人の女性と絶妙なキャラクター配置
本作の強みは、すーちゃん(森本好子)一人だけの視点に終始しない点にあります。それぞれ異なる境遇を生きる3人の女性が対比されることで、読者はいずれかの生き方に強烈に自己を投影することになります。
- すーちゃん(森本好子・30代半ば):独身、自炊好き、カフェ勤務から料理教室へ。真面目で誠実ゆえに「誰かを傷つけていないか」「自分の選んだ道は正しいか」と深く考え込むタイプ。
- まいちゃん(30代半ば):すーちゃんのカフェ時代の元同僚で、現在はOA機器メーカー勤務。かつて不倫に悩みながらも、現実的な結婚と出産を選択し、専業主婦/働く母の葛藤へと足を踏み入れる。
- さわ子さん(30代半ば):WEBデザイナー。母と二人で要介護の祖母の在宅介護を担う。恋愛や結婚を諦めざるを得ない家庭環境の重圧と、その中で見出す小さな希望を背負う。