安倍晋三の出身大学は、東京都武蔵野市にキャンパスを構える成蹊大学法学部政治学科です。1977年(昭和52年)3月に同大学を卒業しています。安倍元総理の学歴において極めて際立っている点は、大学受験を経て入学したのではなく、成蹊小学校、成蹊中学校、成蹊高等学校を経て内部進学した成蹊学園小中高一貫教育の申し子であったという事実です。
成蹊学園は、大正時代に中村春二が創設した私塾を起源とし、三菱財閥の総帥であった岩崎小弥太が強力に支援した歴史を持つ伝統校です。少人数教育と「心力培植」を重んじる気風があり、詰め込み型の受験競争とは一線を画した人間教育を行ってきました。安倍元総理の祖父である安倍寛(元衆議院議員)や父の安倍晋太郎(元外務大臣)はいずれも東京帝国大学法学部出身でしたが、三男である晋三氏の教育環境として母・洋子氏が選んだのは、伸びやかで規律ある成蹊の環境でした。
大学時代の指導教官であった国際政治学者の衛藤瀋吉教授は、当時の安倍元総理について「温厚で自己主張を前面に出すタイプではなかったが、物事の本質を静かに見極める直観力があった」と回顧録で述べています。派手な学生運動の熱気が引いた1970年代中頃のキャンパスで、成蹊の穏やかな空気感に浸りながら国際社会への関心を深めていきました。