長い足を体内に格納した結果、陸上での歩行はどうしても左右に体を振る独特の「よちよち歩き」になります。一見すると非常に不器用でエネルギーを浪費しているように思えますが、近年のバイオメカニクス研究によって、この歩き方にも合理的な理由があることが判明しています。
ペンギンは左右に大きく体重移動を行うことで、物理学における「倒立振子(インバーテッド・ペンデュラム)」の原理を利用しています。振り子のように左右へ揺れる運動エネルギーを位置エネルギーへと交互に変換することで、筋肉にかかる負担を最小限に抑え、実は驚くほど高効率でエネルギー消費の少ない歩行を実現しているのです。
また、雪上や氷上を素早く移動する際には、お腹で滑る「トボガン(腹ばい滑走)」を多用します。この際も、体内に折りたたまれた足は後ろ向きに力強く氷を蹴り出す推進エンジンとして完璧に機能します。ネット上で見られる「ペンギンの足を伸ばした画像」やイラストのシュールな姿は、彼らが陸上のスマートさを捨てて「水中の圧倒的な機動性」を選び取った進化の証拠なのです。