独裁的なリーダーのもとで組織が崩壊する過程には、例外なく一定の共通パターンが存在します。最初は経営者の高い突破力によって成長を遂げた企業であっても、規模の拡大とともに経営者の認知限界を超えた瞬間、機能不全が表面化します。その最大の引き金となるのが、ワンマン経営が崩壊する理由の筆頭に挙げられる「優秀層のサイレント離脱」です。
独裁的なトップは、自らの成功体験を絶対視するあまり、部下の論理的な提案や現場の実情に即した異論を「反逆」とみなします。経営会議はトップの独演会と化し、建設的な議論は消滅。その結果、現場で何が起きるのか。大手信用調査機関の元調査員は次のように証言します。
「崩壊の初期兆候は、常に会議室の沈黙から現れます。トップの意に沿わない数字を出した役員が公衆の面前で罵倒され、降格される姿を見た社員たちは、自己防衛のために思考を停止します。これが、イエスマンばかりになる組織の経緯です。結果として、自分の頭で考え、社外でも通用する市場価値の高い優秀層から順に、何も言わずに転職活動を始め、会社を静かに去っていきます」
残されるのは、叱責を回避することだけを目的に動くイエスマンと、他に行き場のない層のみ。悪い報告はすべてトップの手前で隠蔽され、経営判断の土台となる情報そのものが歪んでいきます。現場の不祥事や業績悪化にトップが気づいたときには、すでに事業の修復が不可能な段階に達しているのが、典型的な破滅のシナリオです。