SCP-173のヴィジュアルとして長年親しまれてきたあの写真は、日本の美術家・加藤泉(Izumi Kato)氏が2004年に制作した木彫立体作品『無題 2004(Untitled 2004)』を撮影したものだ。木材やアクリル絵の具を用いて生み出されたその像は、原始的な生命力と独特の孤独感を放ち、人間の深層心理に直接訴えかける強烈な存在感を湛えている。
加藤氏の手による純粋なファインアート作品が、いかなる経緯で「SCP-173」と呼ばれる危険なモンスターへと変貌を遂げたのか。発端は2007年、海外の匿名画像掲示板に誰かが無断でこの展示風景の写真を転載したことだった。芸術作品としての文脈を完全に剥ぎ取られた彫刻は、冷徹な報告書形式のテキストを付与された瞬間、ネットカルチャー史上最も恐ろしいSFホラー(Sci-Fi Horror)のプロトタイプへと再構築された。