皮膚の下で血管が破れて血液が皮下組織に漏れ出た状態を、医学用語で「皮下出血(紫斑)」と呼びます。通常、人間の身体は血管が傷ついても、「血管壁の収縮」「血小板による一次止血」「凝固因子による二次止血」という3つの防御機構が瞬時に連動し、最小限の出血で修復されます。しかし、これらのバランスが崩れると、外傷がなくても微細な日常動作だけで内出血が生じてしまいます。
ぶつけてないのにあざができる原因を大別すると、以下の3つの生理学的要因に分類されます。
第1に、毛細血管の脆弱性です。血管を支えるコラーゲン線維や皮下脂肪が加齢や紫外線、栄養不足によって減少すると、皮膚を軽く引っ張ったり衣類が擦れたりした程度の刺激で毛細血管が破綻します。20代〜40代の女性に多く見られる「単純性紫斑」や、高齢者に頻発する「老人性紫斑」がその代表例です。
第2に、血小板の減少または機能異常です。血小板は血液1マイクロリットル(μL)あたり通常15万〜35万個存在しますが、これが10万個以下に減少する「血小板減少症」に陥ると、止血栓が正常に作られなくなります。特に5万個を下回ると、明らかな外傷がなくても自然出血が起きやすくなり、手足に点状や斑状の紫斑が多発します。
第3に、血液凝固因子の不足や異常です。血液を固めるタンパク質(凝固因子)の多くは肝臓で合成されるため、肝硬変などの肝機能低下が生じると凝固能が落ち、内出血がぶつけてないのに痛みなしの状態で広がることがあります。また、抗血栓薬(ワーファリンやDOACなど)を服用している場合も、薬効によってあざが生じやすくなります。