サッカーフランス代表歴代優勝の歴史を振り返る上で、起点となるのは間違いなくジダン1998年ワールドカップ自国開催大会です。当時、決勝戦で最強王国ブラジルを相手にジネディーヌ・ジダンが叩き込んだ2本のヘディングシュートは、フランス全土を熱狂の渦に巻き込みました。白人、黒人、アラブ系が融合したスカッドは「ブラック・ブラン・ブール(Black-Blanc-Beur)」と称され、多民族共生社会の理想像としても語り継がれています。この時着用されたトリコロールカラーのフランス代表ユニフォーム歴代屈指の名作デザインは、今なおファンの間で伝説的アイテムとして親しまれています。
その後、2006年ドイツ大会の準優勝とジダンの惜別、2010年南アフリカ大会での内紛劇という暗黒期を経て、チームを再建したのがディディエ・デシャン監督でした。指揮官自身がキャプテンとして掲げた1998年のトロフィーから20年後、2018年ロシア大会でフランスは堅守速攻をベースに圧倒的な強さを見せつけ、2度目の世界王座に君臨します。新星として彗星のごとく現れた19歳のエムバペがピッチを切り裂く姿は、新たな黄金期の到来を告げるものでした。
そして世界中の記憶に鮮烈に刻まれているのが、フランス代表カタール大会決勝でのアルゼンチンとの死闘です。前半に2点のリードを許す絶望的な展開から、終盤に驚異的な巻き返しを見せて3-3の同点に持ち込み、PK戦の末に涙を呑んだ一戦は、W杯史に残る伝説の名勝負となりました。敗れはしたものの、逆境で見せた勝負への執念と底力は、フランス代表の格の高さを改めて世界に見せつけました。