自衛隊の収入を大きく跳ね上げる最大の要因が「特殊勤務手当」です。防衛省令に基づき、著しい危険や著しい苦痛を伴う任務、あるいは高度な専門技術を要する任務に対して支給される手当で、その種類は数十に及びます。配属される自衛隊(陸・海・空)や職種(職種・特技)によって、年収に数百万円単位の格差が生まれる決定的な理由がここにあります。
各部隊の代表的な手当と収入実態を比較検証してみましょう。
1. 航空自衛隊:戦闘機パイロットの破格待遇
航空自衛隊のパイロット(操縦士)には、基本給の約60%〜80%にも達する高額な「航空手当(飛行手当)」が加算されます。幹部自衛官(尉官・佐官)の基本給にこの手当が上乗せされるため、30代前半の戦闘機パイロットで年収1,000万〜1,200万円、40代では1,300万円を超えるケースが珍しくありません。民間航空会社のパイロットと比較しても遜色ない給与水準が確保されています。
2. 海上自衛隊:航海手当と潜水艦乗組員手当の驚異
海上自衛隊の艦艇勤務者は、出港すると「航海手当」が支給されます。さらに過酷を極める潜水艦の乗組員には、基本給の約33%〜45%程度が「潜水艦手当」として加算されます。遠洋航海や長期警戒監視任務が重なると手当が雪だるま式に増え、20代後半の独身隊員であっても年収700万〜800万円に達することがあります。寄港地以外でお金を使う機会が極端に少ないことも相まって、海自隊員の貯金スピードは自衛隊内でも随一と評されます。
3. 陸上自衛隊:空挺・災害派遣・不発弾処理の現場手当
陸上自衛隊の収入実態は、海・空に比べると基本給ベースの比率が高めですが、第1空挺団(パラシュート部隊)の「落下傘降下手当」や、特殊作戦群の特殊作戦手当、不発弾処理手当など、危険度の高い部隊には手厚い加算があります。また、近年頻発する大規模災害派遣時には「災害派遣手当」が日額支給されますが、任務の身体的・精神的過酷さから見れば決して高すぎる金額ではないという議論も根強く存在します。