恒松祐里の演技力評判を語る上で欠かせない転換点が、2021年に全世界配信されたNetflixオリジナルシリーズ『全裸監督 シーズン2』での乃木真梨子役です。
当時、朝ドラ出演などを経て清純派としてのパブリックイメージが定着しつつあった彼女にとって、この役柄への挑戦は芸能生命を左右しかねない大きな決断でした。しかし、彼女が見せたのは単なる露出への抵抗を排した体当たり演技にとどまりません。ヒロインが抱える葛藤、孤独、そして表現者としての狂気とプライドを繊細なグラデーションで表現し、海外メディアからも絶賛を浴びました。当時の制作発表会見や雑誌インタビューにおいて、彼女は「この作品に参加したことで、演じることに対する迷いや恐怖心がすべて消え去った」と述懐しています。
さらに2022年の映画『きさらぎ駅』では、映画初主演を務めました。ネット怪談を題材にしたこのホラーエンターテインメントにおいて、彼女は観客を異界へ引きずり込む語り手としての説得力と、恐怖に立ち向かう主人公の心理変化を巧みな視線の動きと息遣いで体現。SNSやレビューサイトでは、「恒松祐里の一人芝居に近い緊張感がB級ホラーの枠を超えさせた」「感情の機微を表情だけで語れる稀有な女優」といった絶賛の声が溢れ返りました。
日本映画批評家大賞など各映画賞での評価実績が示す通り、彼女の演技は「作為的な上手さ」ではなく、「役がそこに生きているかのようなリアリズム」に根ざしています。演出家の意図を瞬時に汲み取る反射神経の良さは、制作現場のスタッフ間でも極めて高く評価されています。