紙と鉛筆の時代から液晶ペンタブレットやiPadへと主戦場が移った現代において、デジタルイラスト初心者描き方にはデジタル特有の罠が潜んでいます。多くの初心者が最初につまずくのは、ペイントソフトの多彩な機能に振り回される現象です。無数のブラシテクスチャやレイヤー効果、変形ツールを駆使して「それっぽく見せる」技術を身につけても、土台となるデッサンが崩れていれば、一枚絵としての説得力は決して宿りません。
SNS上では「神絵師のメイキング動画」が数百万回再生され、タイムラプス映像が手軽に閲覧できます。しかし、制作現場のプロが口を揃えて指摘するのは、「完成されたメイキングを見ても、その絵師がキャンバスの裏で『何を捨て、何を意図してその線を引いたのか』という思考プロセスは見えない」という事実です。表面的なブラシ使いや塗りの厚さを真似る前に、なぜその位置に影が落ち、なぜその輪郭線が選択されたのかを掘り下げる視線を持たない限り、独学の孤独な試行錯誤は迷走を極めることになります。