学術的な実態とは裏腹に、大衆文化におけるイメージの形成にはエンターテインメント作品が決定的な役割を果たした。特に戦後昭和の映画産業が作り出した凄惨なサスペンスやドキュメンタリータッチの映画作品は、観客の脳裏に「閉鎖的で禍々しい村の闇」というステレオタイプを深く刻み込んだ。
横溝正史原作の映画『八つ墓村』では、旧弊な村落組織や血縁の怨念を際立たせるモチーフとして怪しげな夜の訪問劇が劇的に脚色された。また、深沢七郎の小説を映画化した映画『楢山節考』においては、厳しい貧困と酷寒に晒された信州の村での性や生の営みが、極限状態の生存戦略として生々しく描写された。これらの強烈な映像表現は、風習の持つ社会的規律の側面を覆い隠し、おどろおどろしい忌避すべき過去というイメージを定着させる結果となった。